Q 4月から「朝の会」「帰りの会」は , 児童・生徒に任せていますが,連絡事項を確認するだけの時間になっています。短時間であっても充実した「朝の会」「帰りの回会」にしたいと思っています。 「朝の会」「帰りの会」の基本的な活動の流れを教えてください。また,学級の独自活動を行うことは可能でしょうか。 (小学校教員 31歳 女性)
「朝の会」「帰りの会」は単なる連絡事項を確認する時間ではなく,一日の見通しをもち,振り返る時間です。学級や自分を見つめる,短時間での特別活動として位置付 けます。短時間であっても充実した会にするために,基本的な活動の流れを明確にする必要があります。また,学級文化を培う独自の活動を設定する場合には,ねらいを 明確にし,児童・生徒が主体的に活動できるようにします。
1 「朝の会」「帰りの会」の基本的な活動の流れ
毎朝,どの児童・生徒も,今日一日に期待をもって登校してきます。児童・生徒同士の一日の出会い,学級担任と児童・生徒との一日の出会いが「朝の会」です。気 持ちよいスタートを切りたいものです。また,「帰りの会」は,児童・生徒が一日の授業を終えた安堵感の中で,その日の反省や連絡などを行う時間です。一人ひとりの心の安定を図り,明日への希望につなげていく配慮が大切 です。
こうしてみると,朝や帰りの会は短時間ですが,学級経営や学級活動,児童・生徒を生かす係活動を考える上からも大事な時間です。運営に当たっては,生活の習慣化が図られるようにします。「朝の会」「帰りの会」で,プログラム化が必要な主要項目を次に挙げます。
⑴ 「朝の会」の基本的な活動の流れ
①朝の挨拶 ②出席確認と健康観察 ③一日の目標(めあて) ④係からの連絡 ⑤学級担任の話
朝の会では,一日の生活を気持ちよく始めるとともに,見通しや目標をもたせます。
Example
【朝の会の前】朝の会が始まる前に校門 や教室に行き,児童・生徒がどのような 様子で登校しているかを確認する。また,気になる 児童・生徒にはさりげなく声をかける。
①【朝の挨拶】
朝の挨拶は,日常生活の基本的な礼儀 作法の一つであるとともに,学級の人間関係を深める糸口になる。明るく,さわやかな挨拶で,気持ちよい生活をスタートさせる。
②【出席確認と健康観察】
学級に対して所属感をもつとともに,居場所としての意識を高めるために,遅刻・ 早退も含めて,誰がどのような理由で教室にいないのかを全員で確認する。健康観察では,心身の健康状態を把握する。係の児童・生徒が行う場合であっても,教師が一人ひとりの児童・生徒の顔色や様子にも目を向け,健康観察を行うとともに,服装,生活態度などを把握し,極力声をかけることが大切で ある。
③【一日の目標(めあて)】
前日の成果や課題と,今日一日の見通しを踏まえて,目標を確認する。これは,児童・生徒が自ら生活の向上や改善に対して意識を高めていくことにつながる。同じような目標ばかり にならないよう,行事や取り組みを意識したり,学習・生活の両面から考えたりすることも大切である。場合によっては,班で目標を設定するなど,自発的な仲間関係を高めるようにする。
④【係からの連絡】
児童・生徒が一日の見通しをもつとともに,自治的・自発的な活動を促すために,係が自ら考え行えるようにする。
⑤【学級担任の話】
新聞やニュースから,昨日見つけたすばらしい姿といった具体的な話題を提供したり,職員会議や朝の職員集会などで確認したことを伝えたり,児童・生徒の安全に関わる情報を伝えたりする。 また,朝の会における児童・生徒の自主的な言動や温かな人間関係を築く言動を認めて,学級へ広げ,さわやかな気持ちで1時間目の授業に向かうことができるようにすることも大切である。
⑵ 「帰りの会」の基本的な活動の流れ
①連絡帳の記入 ②係からの連絡 (③学級の独自活動→後掲)④一日の振り返り ⑤明日の目標 ⑥学級担任の話 ⑦帰りの挨拶
帰りの会は,一日の学校生活を振り返るる中で成果や課題を位置付け,これからの生活を方向付けます。
Example
【帰りの会の前】
帰りの会が始まる前に 教室に行き,児童・生徒がどのように係 活動や児童会・生徒会活動に取り組んでいるかを把握する。また,気になる児童・生徒には本人が頑張っていたことを称賛する。
①【連絡帳の記入】
明日の授業の内容や持ち物,提出物などを連絡帳に記入する。予定に関する係からの連絡も合わせて行う。欠席している児童・生徒への連絡は,教師が行う。配付物がある場合には,一言説明を加えて配り,児童・生徒が内容を理解し,自分自身のこととして考える機会となるよう配慮する。小学校低学年から中学年にかけては,一人ひとりの児童をじっくりと見届けることが大切である。「連絡帳の記入」では,記入ができたかを押印しながら見届けることも大切な指導である。
②【係からの連絡】
当番活動,係活動,児童会・生徒会活動に関しての連絡などを行う。自治的・自発的な活動を促すために,単なる点検活動の発表にとどまらず,係が自ら考え,行うことが大切である。ここで明らかになった事実は,振り返りの視点になる。また,誠実に活動している係の児童・生徒を教師が確認し褒めることは,他の児童・生徒の意識を高めることにもつながる。
④【一日の振り返り】
小学校高学年から中学校にかけては,自主的・自立的な活動を生み出す必要がある。 そのためには,学級のリーダーが目標と振り返りを行う必要がある。とりわけ振り返りでは,結果ばかりではなく過程に目を向けるように指導する。また,事実とともに,その背景にある願いや思いに焦点を当てるように指導する。こうした指導を通して,学級のリーダーを育てる。
学級のリーダー,係,日直などを中心に,朝の会で設定した目標の観点で振り返りを行う。学級全体ばかりでなく,個々の児童・生徒の成果や課題も振り返る。振り返りは事実を基に,「誰のどのような姿に成果や課題があるのか。なぜそう思うのか。どうしていくとよいと思うか」などを語れるように,児童・生徒一人ひとりに応じた支援をする。そうすることで,学級の取り組みや自己の活動を見つめ直し,児童・生徒同士が明日以降も助け合い,楽しい学校生活を送ろうとする学級の雰囲気をつくり出す。
⑤【明日の目標】
今日一日の学校生活全般について、学級として、個人として、どのような一日であったかを振り返り、その反省点に立って明日も気持ちよく生活するために、明日の目標を考える。
⑥【学級担任の話】
学級の目標に照らしながら,今日一日の成果を価値付け,課題を明らかにするとともに,これからの方向付けを行う。事実とともに,その背景にある願いや思いに焦点を当てることが重要 である。また,下校時の安全や部活動への取り組み方,帰宅後の過ごし方について具体的な指導をすることも大切である。学級担任の話は,児童・生徒の道徳性を高めることにもつながる。
⑦【帰りの挨拶】
一日をしめくくる挨拶である。今日の互いの努力に感謝して,明日に希望がもてるようなさわやかな挨拶をする。
2 学級目標具現のための「学級の独自活動」
「朝の会」「帰りの会」は,学級の文化を育てる好機です。見通しと振り返りという本来の内容を維持しながら時間を生み出し,独自の活動や話し合い活動を設定することも効果的です。また,これらの活動を行う場合には,内容や設定時間などについて他の学級や他の学年に理解を求めることが大切です。独自の活動を行う場合は,時期と学級の様子,学級の目標と照らし合わせながら設定します。例えば,次のような活動が考えられます。
Advice
◇自分が感じた友達のよいところを上手に相手に伝えられるようにする活動 (褒め言葉のシャワー活動)。
◇学級の集団活動を高め,文化や芸術に親しんだりするための合唱活動。
◇仲間関係を高めたり,お互いのよさを見つけ合ったりするためのエンカウンター活動。
◇学級や班として,お互いに学力を高め合うための教え合い学習活動。
◇自分の思いを語ることなどを通して表現力を高めるための1分間スピーチ活動。
◇体を動かし,心と身体をリラックスさせるためのエクササイズ活動。
独自の活動に取り組む際には,児童・生徒が主体的に取り組めるようにすることが大切です。そのためには,児童・生徒が活動に対して願いや目標をもち,組織的かつ計画的に運営をし,活動を評価することが重要です。